2014年5月28日水曜日

V.A. - Broken Bubble - Second Variety


[Artist]: Various Artists
[Release Date]: 2014/04
[From]: Broken Bubble
[Genre]: Beats, Dubstep, Techno
[CAT number]: [BB29]
[Tracks]: 18 tracks (1:12:51)

良質なClub系の音楽をコンスタントに出しているBroken Bubbleによるコンピレーションが今年4月に出ました。

まず参加アーティストですが、Gemini, Jacob 2-2, Malou Mørkeberg, Gloom, Fedbymachines, CogiなどなどとまさにBroken Bubbleのショーケースみたいになっていて、レーベルを俯瞰するにはぴったりなコンピとなってます。

ジャンル的にはダブステップ以降のFuture Garage、Post Dubstep、Beatsといった感じになっていて、全体的にダークで退廃的な雰囲気の曲が多いです。酩酊しているような、宇宙に浮遊しているような、そんな感じです。ジャンルは似ていても、どの曲も個性的でそれぞれアーティストの特色が出ていて、スタイルも統一さはなく、展開が読めない曲が多い。

コンピの前半はどちらかと言うとBPM遅めな曲が多く、Beats系。前半でよかったのはM3, M9あたり。Mute SpeakerによるM3は重めのHip-Hopに民族的なリズムを加えつつも、ウワモノの処理からスペーシーな雰囲気がでていて面白い。KelleによるM9はノンビートなDustyな音から出るノスタルジックな音でどこかVaporwaveを彷彿させますが、Vaporwaveにありがちなどっかカルト的な感じはなく、ギターが奏でるメロディがエモく、心安らげます。

コンピの後半はPost Dubstep, Future Garageな曲が多く、なかなかどれも踊れます。個人的に光ったのはM11, M14, M15,M17あたり。KlātuによるM11は前半ノスタルジックなIDM的な雰囲気から徐々に上がってくるビートがとてもカッコイイ。M15 Ryuei Kotoge - Holeはある意味とてもストレートな感じの高速Breakbeats - Drum and Bassな感じですが、ビートの組み方が玄人っぽさがあり良いです。特に中盤おもいっきり1拍のビートを伸ばす感じとかすっごく好き。Cogi x Blood BoyによるM17はまさに終盤を飾るにはぴったりな大作になっていて、聴き応えあります。

他にもwAgAwAgAによるwAgAwAgAらしいDubな曲だったりFedbymachinesによるExperimentalな1曲、フィナーレを飾るDr Perceptronによるエモトラックと、盛りだくさんな内容になってますので、ぜひぜひ。

Preview: M14 Hurtdeer - Wither Complex



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2014年5月21日水曜日

6 Bossa Nova Pieces from Bandcamp

今週はちょっとしたまとめ記事。

Bandcampではリリースにつきレーベルやアーティスト自身がつけたジャンルのタグを元にタグ検索できるようになっているんだけど、それを利用してざっくりと暖かくなってきたことだしBossa Novaをディグってみた。(本当は三月くらいにディグっていたのだが暖かくなっていたので機会を待ってた)



1. Dave Holmes - Born To Bossa - Volume I


1発目はDave HolmesによるBossa Novaカヴァー集。Summer SambaやMas Que Nadaなどたぶん一度は聴いたことあるような曲が揃ってます。スタイルとしては渋い男性の歌声にギター一本という弾き語りな感じですが、録音の質が良く、演奏もうまくクオリティ高いです。しっとりな感じでちょっとほっとしたいときに聞くにはぴったりです。

Preview: M13. Samba de Verão (Summer Samba)




お次はBossa Novaと言うよりはSambaっぽい感じでエナジーあふれる感じのリリース。タイトルもCarnavalesとあるように南米のお祭りぽさがある曲が揃っていて軽快でリズミカルです。1つ目より、より民族的で情緒的でジャジーです。

Preview: M9. Temporal


3. nick tha 1da - BossaBang 2: Saudade


お次はHip-Hop色が強めだけどローカル感あふれるリリース。実際のリオでライブもやっているというnick tha 1da。Mixtapeみたいな感じに仕上がっている当リリースはやはりビートが重視されている感じで、純粋なBossaなところもありつつ、ヒップホップもあり、ビートボックスな曲もあれば、しっとりもありと、いい感じにブレンドされていてなかなか愉快です。案外LAのBeatsモノが好きな人は気にいるかもしれない。PreviewのM6とかはベース音が良く動いてオススメ。

Preview: M6. Pintores



4. Os Afastados - Adaptar


お次は結構オルタナティブでアングラ感あるBossa Nova。比較的ポストロックな雰囲気のあるサウンドを持ちつつ、様々なパーカッションが土着的なリズムを醸し出していてなかなか独特です。想像するBossaとは結構かけ離れていて、先にあげたnick tha 1daに近い感じですがこちらのほうがダークで実験的。

Preview: M7. Dobrão



5. Maria Paula Godoy - "AMBAS" Entre Zambas & Sambas - AMBAS


こちらはどっちかというとスペインっぽい感じのちょっと豪勢な感じのBossa ~ Samba。というのもジャケの女性が歌い手なのか、とても力強いスペイン語の歌唱がとても特徴的で、キャラクターになってます。曲もどこかオトナな雰囲気が漂う曲が多く、オシャレなジャズバーで聞けそうな感じの曲が多い。

Preview: M7. Necesito Decir Que Te Amo




6. sophie ellen - moon 


最後に紹介するのは1番目のような弾き語りスタイル。ただ1が渋いおじさんボーカルだったのに対しこちらは上の写真が本人なのか透き通った女性の癒やしボーカルの弾き語りになってます。曲も英語の歌詞とスペイン・ポルトガル語の歌詞と半々です。最後はしっとりな感じのリリースで美味しいブラジリアンコーヒーでも飲みながら嗜んでください。

Preview: M2. sou do mundo


2014年5月14日水曜日

A-zu-ra - the bed of diverse flowers



[Artist]: A-zu-ra (Soundcloud)
[Release Date]: 2014/03
[From]: Self Release
[Genre]: Melodic, Emotional, Lounge
[CAT number]: [###]
[Tracks]: 7 tracks (30:31)

今週紹介するのはA-zu-ra(アズラ)による、”夏休みの7曲プロジェクト第3回”とサブタイトルにある、とてもこれからの夏な雰囲気を盛り上げてくれそうなMelodicな曲集となっています。

A-zu-raさんは日本人ではありませんが、いわゆる日本のゲーム・サブカルチャー文化愛好家のCalifornia出身のアーティストっぽいです。曲のほうも完全なChiptuneではないですが、ゲーム・電子音あふれる仕上がりになってます。

曲のスタイルとしてはとても忠実に起承転結がはっきりしている現代ポップミュージックぽい感じになっていて、どの曲もコードがはっきりしていて、メロディは明瞭で、それを支えるベースラインがあり…と言う感じですが、忠実ゆえにメロディが際立ってていいです。それが自分の中でどこか”Muzie”感を想起させてくれて、とても好みです。

M3の伸び伸びした、どこか下町っぽい感じのメロディや、M5の終盤っぽいエモさを醸しだしてくれるメロディもいいですが、個人的にビビットきてしまったのはM4やM6のピアノ音で奏でられた高速メロディ。特にM6 Tides of Greenは、前半の溜めからの後半の展開は思わず聞き入ってしまうかんじで、突き抜けてきました。

類似アーティストとして猫叉Master氏や大嶋博之氏、Eiya氏などが自分の中ではでてきま
すが、彼らのようなメロディックなものを求めている人はA-zu-ra氏から近いものを感じると思います。どこか懐かしさを思い出させてくれる曲を求めている人は聴いてみてくださいなー!

Preview: M6 Tides of Green



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2014年5月7日水曜日

mulllr - for Minus Four Nine


[Artist]: mulllr (Website)
[Release Date]: 2014/03
[From]: Self Release
[Genre]: Glitch, Electronica, Experimental
[CAT number]: [###]
[Tracks]: 18 tracks (50:17)

今週は日本のausOba Masahiroのリミックスでご存知のMOTORO FAAMやmooor名義などでも活動中のmulllrによる新アルバムのご紹介です。

高密度な電子音、ノイズ、ドローンが好きな人はすでに視聴済みだとは思いますが、本作はとにかく音の密度と攻撃性が半端ないです。違った角度から音を千切りしたような感じがひたすら続いていて、音のシャワーを猛烈に浴びる体験を久しぶりにしました。緻密にプログラムされたスクリプトを実行して出力されたものっぽい曲名がずらりと並んでいて、それにそぐうような楽曲が並んでいて、まさにエレクトロニカ。

本アルバムは全18曲ですが、全体で壮大な1曲のような構成なっています。ですが18曲に区切ることによって音の形態が徐々に変わっていく様が想像しやすくなっていて、1曲1曲違った姿を見せてくれています。1曲1曲通過していくにつれ、攻撃性の強いグリッチ音を浴び続けていくうちになにか達しそうな感覚は恐いけれどもやみつきになりました。18曲とも同じような暴力性高い電子音が続くわけですが、やはり始まりには始まりを感じさせる音があり、終わりには終演を感じさせる音があります。

アルバム内のオススメ曲とか書くと割りと滑稽で笑えてくるレビューになりそうでやってみたいですが、このアルバムはやっぱり通しで聞くものだなと、ランダム再生してみて感じました。とにかく50分ひたすら電子音の攻撃を浴びて、浴びたあとの開放感というか、清々しく戦って負けた感覚とか、ブレインワッシュされる感じを体験してください。ぜひヘッドフォンかスピーカーはボリュームを大きめで、音の洪水に飲まれてください。

Preview: M5. -115​.​55



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