2012年3月21日水曜日

Sincope - Close Moving EP




[Artist]: Sincope (Soundcloud)
[Release Date]: 2012/1
[Genre]: Ambient, Electronica, IDM
[CAT number]: [SOSEP037]
[Tracks]: 3tracks (19:27)

イタリア産レーベル、Sostanze Recordsから、イタリアはトスカーナ地方出身のアーティストデュオSincopeによるリリースです。

ジャケットは、キャベツ!?
なんともとらえがたいジャケ画像でありますが、音のほうも基本的にはアンビエントでノスタルジックなのですが、どこか空虚感や悲哀が漂います。

ノスタルジックさはそういった系統のピアノの音だったり、ボーカルの音から支えられています。しかし、あきらかにこのリリースからはノスタルジー以外のアナーキーさも感じます。エモさをただよさせつつ、それを突き放すような冷たさが漂います。

たとえば、M1. Close Movingだとベースの音が良い意味でなんとも躍動感が無く、冷ややかです。ノスタルジックさを支える音とはまったく違った異質な音の群があきらかに各曲に存在します。

その冷たさが逆にダンスミュージックとして今度は機能し、M2、M3なんかは虚脱感を味わいながら踊れます。またエモさを感じつつ、そこから一歩置いたところで客観的になれる感じからくる清々しさもあります。

3曲だけなのですが、どれもとても濃い体験をさせてくれる曲が揃っています。おすすめ。


Preview: M2. Closedowns

2012年3月18日日曜日

SEVEN - Shine



[Artist]: SEVEN
[Release Date]: 2011/12
[Genre]: Downtempo, Ambient
[CAT number]: [ah040]
[Tracks]: 13tracks (42:36)

米国ネットレーベルのArchaic Horizonから、ロシアンアーティスト、Alexandr LopatkoのSEVEN名義でのリリース。

正直ロシアのアーティストと知って違和感を覚えました。音がとてもジャケみたいなサマー感がある、熱気を帯びたダウンテンポ、アンビエントモノだからです。曲名からもSummerであったり、Surfriderとか、カリフォルニアかアリゾナとかアメリカの夏を想起するものが多いです。

音的には結構レトロ感あるダウンテンポで、とても湿った、ずーんと来るダウンテンポを展開しているものもあれば、シンセ音が割りとはっきりしていていくらかさわやかに聞かせてくる曲もあります。

リリースの中で結構気に入っているM10.Magnetophoneなんかはまさにダウンテンポっぽいギターやキックの音に、鳥のさえずりをサンプリングしてたりとまさにジャケのようなダウンテンポです。

曲の合間に挟んでいる短めなノンビート曲なんかはまさにBoards of Canada的な曲でアンニュイ。しかしこういうシンセ音が鳴り響くアグレッシブなノンビート曲が最近好みな私にとってはだいぶうれしいリリースであります。


Preview: M6. Shine


2012年3月16日金曜日

Phil Gerus - Textures




[Artist]: Phil Gerus (blog)
[Release Date]: 2011/11
[From]: Pegasia Music
[Genre]: Glitch, Electronica
[CAT number]: [PegasiaMusic010]
[Tracks]: 5tracks (19:10)

初めて聞くPegasia Musicというネットレーベルから、これまた初めて聞くPhil GerusというアーティストによるEPです。まだリリース数13と少ないあたり新しいのかなと思いAboutページを読むと2009年から始めたそうで、Electronic, Alt. RockやSteampunk(初耳のジャンルだ!)に傾倒した音楽をリリースしていきたいとのこと。そしてPhil Gerus氏はモスクワ出身のアーティスト。

さて当リリースなのですが、ジャケらしい生音的でちょっと現代音楽的?なグリッチサウンドになっております。グリッチにも色々と波形編集的な手法であったり、プログラミングを使った手法であったりと色々とあると思いますが、Phil Gerus氏のブログを見る限り、彼はMax/MSPを使用してグリッチを行っていると考えられます。

具体的に音を見ていくと、主題的なピアノのメロディにグリッチがかかっていたり、フィールドレコードの音が複雑に交錯していたりと、どちらかといえばAmetsubのような粒粒が細かいグリッチサウンドになっています。エレクトロニカ・ミュージックの中でノイズのようなプツプツ音がたまらなく好きという人も居て、僕もその一人なのですが、このリリースではそのプツプツ感が結構あってキモチイイです。

日本のHz-Recordsのような攻めるタイプとは違った、眠気を誘うようなグリッチサウンドが聞きたくなったら聞いてみてください。


Preview: M2. March Skies

2012年3月13日火曜日

Abstract Nostalgic Fractals Systems - The Inner Peace




[Artist]: Abstract Nostalgic Fractals Systems (Bandcamp)
[Release Date]: 2012/2
[From]: Bump Foot
[Genre]: Dub-Techno, Minimal
[CAT number]: [bump170]
[Tracks]: 8tracks (51:22)


ジャパニーズネットレーベル、BumpfootからCesar "M1A1" AlexandreとAlessandro "Nodhead" IIIのデュオによる8トラック入りのアルバム。割と直球的なキモチイイ、ミニマルなダブテクノになっております。

構成されている音の類は、テクノサウンドで聴きなれたシンセ音になっています。シュワーとしたウワモノとフィルターのかかったキック。それを下で支えるダビーな低音。
しかし、このアルバムの前に出たセルフリリースの"mx01 EP"に比べると、幾分か生音やフィールドレコードの音を加えていて、たしかに人ごみの音など、都会的な音が確認できます。
また、幾分ハードコアで聴きそうなアグレッシブな音が遠景で鳴っていたりと、どこかダークでアーバンな雰囲気が出ています。夜中の首都高を走っているような。(走ったことないけど…)

どの曲もダブテクノらしく長いのですが、実はいくつかはつながっていて、8曲ありますが全体として2,3パートに分かれている感じです。しかしそれでも、いつまでも聴いていたい、という欲求を掘り起こしてくれてなかなか欲求不満というか快楽に浸れます。

どの曲も良いのですがやはりハイライトは14分あるM.5でしょう。14分があっという間に感じてしまう心地よさをみなさんも聞いてみてくださいましー


Preview: M7. Desolation (Promises Is Not For Us) 

2012年3月12日月曜日

SALA – Jurmala Revisited​/​Breath




[Artist]: SALA (Blog)
[Release Date]: 2012/2
[Genre]: Field Records, Ambient, Piano
[CAT number]: [AGN054]
[Tracks]: 2tracks (15:19)

イギリスのAudio Gourmet Recというレーベルから2曲入りの長いフィーレコ×ピアノという心地よいサウンドがリリースされました。アーティストはSALA。リトアニア出身で、プロフによるとかなり長年フィールドレコードをされてきたそうです。

フィールドレコードはまさにこのジャケの風景で行われたかのような海岸の波打つ音です。タイトルにあるようにJurmala(日本語ではユールマラ)という場所で録ったそうです。イメージ的に、北国の海辺のリゾート地かなーって思っていたので、ググってみてぴったしで驚きました。

フィールドレコードと付随して曲に入ってくるのが、どこからとなく聞こえてくるラウンジ的なピアノのメロディです。これがとても懐かしくカンジさせるというか、どこかフィクションな情景を想起させてくれます。しかもこのピアノのメロディ、いつの間にか流れていていつのまにか消えているという感じで、フィールドレコーディング中にたまたまくっついてたのではと思ってしまうほどすんなりフィットしています。

フィールドレコードの音自体も、とてもハイクオリティなもので、フィーレコ好きにも十分楽しめると思います。またアンビエントやイージーリスニング的なものとしてもきっちり聴けるものですので、何かBGM欲しい人には是非。


SALA – Jurmala Revisited​/​Breath (Bandcamp)

2012年3月6日火曜日

Chrome Sparks - My < 3



[Artist]: Chrome Sparks (Facebook)
[Release Date]: 2011/7
[From]: Bandcamp
[Genre]: Pop, Indie, Remix
[CAT number]: [#####]
[Tracks]: 7tracks (30:47)

米国出身、若干20歳のトラックメイカー大学生、Chrome Sparksによるセルフリリースです。彼は長身で、閉所恐怖症ならしいです。Bandcampディグると他2つリリースが落とせます。

音のほうなのですが、最近のダンスシーンの音を取り入れながらかなりキャッチーでポップに仕上がっています。心地の良いビート音、に程よくフィルターのかかったシンセ音から奏でられるキャッチーな美メロ。以前紹介したSeamsとかそういった系統に近いかな。Four TetやThe Album Leafとかと比較するのはアレですが、Indie系なエレクトロニカが好きならDLして損はしないでしょう。

歌声をおちゃめに上下して遊ぶ感覚は、ジャンルは若干違うのですがスタイル的にはpogoととても似ています。このリリースだとM1,M7が特に似ていて、脳裏に浮かびました。

(Feat. Steph Thompson)となっている曲はおそらくオリジナルでしょうけど、他はなんかの曲のリミックス、あるいはサンプリングか、その狭間で、オリジナルなのかどうか調べないとわからない感じです。

曲のほうなのですが、M2とかビート的には2000年代のIndustrial Hip-Hop感があったり、M6は若干Disco調でレトロ感漂ってGoodです。(実はM2を8tracksで初めて聴いてChrome Sparksの名を知りました。)

Preview: M1. Doubt, No


Chrome Sparks - My <3 (bandcamp page)



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実はその1個前のリリース、"Remixes"もかなりすきなのですが、こっちのほうが記念的なのでこちらを紹介してみました。"Remixes"はその名の通りリミックス集で、こちらはより踊れる感じにしあがってなかなか快感です。